じいちゃんのお墓まいり。
ボクはいつも手を合わせて心でこう呟く。
「じいちゃん、元気?」
あっちの世界に旅立ってもう18年になるのかな?
一昨日が命日だったんで、ちょっと昔話を書いてみよう。
じいちゃんの顔、笑顔しか思い出さない。
杖をついて山へ行く姿と、優しい笑顔。それが今のボクに遺るじいちゃん。
なんだけど…
もう一つ、一番忘れられない笑顔がある。
ボクは、じいちゃんがあっちの世界に旅立ったその瞬間には会えなかった。
最後は、その二日前だった。
その日は、とても苦しそうだった。
苦しそうにしているじいちゃんを、おっちゃんたちが看病していた。
ボクはその様子を少し離れて見ているだけだった。
近寄るのが辛くて、悲しかったから。
でも、おっちゃんが大きな声でじいちゃんにいう。
「じいちゃん、隆志が来たで!」
言わなくていい。その時はそう思った。しんどそうにしているのにそんなこと言わなくても。ボクが来たかったから来ただけだから。って思ってた。
でも、そうじゃなかった。
じいちゃんも待っていてくれた。
その声で、少しだけ落ち着いてきたんだ。
そして、じいちゃんは笑った。
そして、じいちゃんは泣いた。
満面の笑みで泣いていた。
もうボクはその場でいることが出来なかった。
いろんな感情がかけめぐる。
感謝
後悔
寂しさ
嬉しさ
そして儚さ
待っていてくれてありがとうとか、なんでもっと同じ時間を過ごさなかったのだろうとか、もう会えなくなるんだとか。
様々な感情が押し寄せて、ボクは病室の外で号泣した。
恥ずかしながら、ばあちゃんが慰めにきた。ありがとうってね。ボクが支えなきゃいけなかったのに。
その二日後に旅立った。
その時親父は生死をさまよう大きな事故に巻き込まれていた。それがじいちゃんが旅立つ一週間前の話。身体中骨折し、額も裂けていて、病室に入る前に、あ、親父は死んだと思うほどの事故だった。結局今も丈夫で生きているけどね。それはまた別のお話。
あなたには会いたい人がいますか?
その人に会っていますか?
その人と最後に別れる時は笑顔でしたか?
時代も場所も無数にある中で、ボクたちはこうやって出会いました。それは本当に奇跡のようなことだと思います。せっかくこんな時代で一緒に生きているのだから、過ごした瞬間を笑顔で送りたいと思います。心豊かに生きていきたいと思います。悲しいことも辛いこともありますが、それも一緒に乗り越えたいと思います。
じいちゃんは、ひ孫をその目で見る前に旅立ってしまいました。
でも、今はたくさんのひ孫が出来て、それをあっちの世界から見てくれているのだと思います。
だからじいちゃんの墓の前で、ボクはこういうのです。
「じいちゃん、元気?」
とね。
今は、子供たちもいっしょにね^^