屋根から降りた瓦たち
役目を終えた瓦たち
今はゆっくりと眠りにつき
また、自分の時間が来る時を待っています。
ずっとずっと昔の話。
いつも変わらず、瓦は守ってくれていました。
それは、まだあなたが生まれていないときの物語。
あなたを創った物語。
ボクは、こんなストーリーがこの瓦屋根の下あったのではないかと、今は見えぬその情景に想いを馳せます。
縁側に座って、空を見上げた。
そこで、スイカを食べていた。
ボクは、笑っていた。
風邪をひいた。
氷で冷やしてくれて、おかゆを食べさせてくれた。
ボクはしんどいけど、笑っていた。
お父さんに怒られた。
ちゃぶ台をひっくり返された。
ボクはちょっと、泣いていた。
お母さんが癒してくれた。
そっとご飯を持ってきてくれた。
ボクはもっと、泣いていた。
ボクは、その家を離れた。
みんな応援してくれた。
みんな、笑っていた。
そしてみんな、泣いていた。
そんなストーリーが続き、そしてそれは次の世代へ受け継がれていきます。いついかなる時代でも、家族が家族でいるという事実は変わることはありません。
その思い出を、優しく包んでくれるのが瓦屋根だと思っています。
少なくとも、ボクのまちではね。
ボクは、瓦でなくてはいけないなんて、これっぽっちも思っていません。ビルの立ち並ぶ超現代の場所では、瓦を使ってはいけないとすら思います。
そのまちそのまちにストーリーがあり、その家その家にストーリーがあります。
だからボクは、ボクのまちでは思い出を優しくしてくれる、瓦屋根。
それを、繋げていきたいと思います。
なんてことを思ってはいますけれども!
ぶっちゃけますけど、好きの押し売りですわ(笑)
ボクはそんな思いで仕事をしている。
だから、ちょっとでも共感してくれれば嬉しいなっていう、超自己中な話です。
でも自己中でいいと思っているし、その自己中は人のためになると思っています。
瓦を繋げていきたい真の動機は、
役に立ちたいでもなく
助けたいでもなく
応援したいでもなく
ただ、瓦が好きだから。
その瓦が繋げる風景が好きだから。
それだけなのです。